サウスシーバドミントンクラブ

 今日,1935年(約70年前)に英国で発行されたバドミントンガゼット誌(Badminton Gazette)の3月号を読んでいたらサウスシーバドミントンクラブ(Southsea Badminton Club)のことを紹介している記事を見つけた。

 サウスシーバドミントンクラブというのは英国ハンプシャー州ポーツマスのサウスシーという町にあったバドミントンクラブのことである。とても古いクラブで1889年に設立されている。さらに,このクラブはバドミントンのルールの統一にも大きく関わっていることから私にとっては気になるクラブなのである。
 詳しいことは本サイトのバドミントンの初期の歴史を読んでいただきたいが,以下の緑色の部分にその概要を示しておく。

 
 
世界で初めてバドミントン競技に関わる協会が設立された。1893年、英国での出来事だ。協会の名称は「The Badminton Association 」であった。実に単純明快な名称である。他に協会がないわけだから単純は当然である。しかし、その設立理由は面白い。当時の協会の機関誌の記事をかいつまんでみると次のとおりである。その頃の英国にはいくつかのバドミントンクラブがあった。そして、それぞれのクラブが独自のルールを持っていた。いわゆるローカルルールというやつである。クラブの数が増えるにしたがって各クラブは対抗戦を意識し始めた。しかし困った。各クラブのルールが違うのである。対抗戦毎にルールをすりあわせるのは大変なことである。だからといって、一方のルールにあわせれば一方が極端に不利になる。これではつまらない。何とかしたい。それじゃあ、協会をつくってルールを統一しよう、ということでこの協会がつくられたわけである。単純明快な話である。1893年8 月、サウスシークラブのドルビー大佐という人が設立の提案を書状にしたため、英国国内の知りうるすべてのバドミントンクラブに送った。同年9 月12日、呼びかけに応じた14のクラブの代表がハンプシャー州のサウスシーに集まった。そして、いくつかの約束事を取り交わし、めでたく発会したという次第である。初代の会長には発起人のドルビー大佐が就任した。
 
 
ちなみに,このポーツマスとは,あの太平洋戦争終結時のポーツマス条約で有名な軍港町である。私も行ったことがあるが,とてもきれいな町である。ただし,ここは海軍の重要な基地となっており軍隊のにおいがする町である。あのサッカーの川口選手が所属していたイギリス1部リーグのポーツマスもここにある。
 ポーツマスの位置は→ここ サウスシーの位置は→ここ

 その昔からこのポーツマスという地は重要な軍港であったということで,ここを拠点に軍人達が,世界各地の大英帝国領地を行き来していたようである。したがって,19世紀後期にかけて,英国の軍人達は英国の伝統的あそびであるバトルドーアンドシャトルコックをインドに持ち込んだ。そして,バドミントンというゲームに進化させた。そこで,その軍人達はこの地に再びインドから出来立てほやほやのバドミントンを持ち込み,英国全土に広めたのである。したがって,このサウスシークラブも軍人が中心となって設立されている。また,このポーツマスでは,サウスシークラブが設立される1年前,すなわち1888年にはユナイテッドサービスバドミントンクラブ(United Services Badminton Club)という軍人のバドミントンクラブも設立されている。ちなみに,この場合のServicesとは,陸軍と海軍のことを指す。
 下に,1891年の,サウスシークラブ第1チームの写真を示す。着ている服はユニフォームで,このような服装で試合をしていたそうである。後列右から2人目がドルビー大佐(Major Dolby)である。彼は上述したとおりに,1893年に設立された「The Badminton Association 」の初代会長でもある。
 しかし,選手が持っているラケット,どこかで見たような,と思ったら,私が持っているやつと全く同じようならラケットである。念のためにそのラケットも以下に示しておきます。ちなみに,私のラケットは1909年頃英国で作られたと思われる。私が持っているバドミントンアンティークについてはここを参照のこと。 








 ということで,今日で10月も終わりです。今年も残すところ2ヶ月です。最近は朝夕にはめっきり冷え込んできました。皆さん風邪など召されませぬように。
 それではさようなら。