バトルドーアンドシャトルコック

 1月は,センター試験やら定期試験やらで(と言っては学生諸君に大変失礼であるが),とても慌ただしかった。が,先ほど,採点等の業務を全て終え,事務局に成績表を提出してきた。ということで,お昼休み,愛妻弁当を食べながらほっと一息ついているところである(この文章は弁当を食べながら打っているのであるが)。
 そこで,話題をひとつ提供。



 上の絵は「The Graphic」誌の1871年5月13日号に掲載されたプリントである。これはロンドンのアンティークマーケットで購入したものであるが,3人のご婦人がやっているのはバトルドーアンドシャトルコック(Battledore and Shuttlecock)という英国に昔から伝わる羽根突き遊びなのである。 手に持っている打具がバトルドーと呼ばれるもので,それでもってシャトルコックを打ち合っているのである。もちろん,この遊びがバドミントン競技のルーツなのである。

 ちなみに,「battledore」とい言葉は洗濯物を叩いて洗うときに使う棒という意味の,「batyldore」という言葉を起源とする(この言葉は15世紀頃使われていたらしい)。
 さらにちなみに,「Batyl」という言葉は「bat」の反復型で,野球などで使うあのバットのことを表す。doreはマグソコガネという馬や牛の糞に群がる虫のことで,暗に衣服の汚れを意味している。であるから,Batyldoreというのは,衣服に付いた汚れを叩き落とすバット,という意味なのである。

 したがって,元々,バトルドーアンドシャトルコック遊びで使われていた打具は,日本の羽根突き遊びで使われるような木ぎれであった。
 下の絵は農民が仕事の合間にバトルドーアンドシャトルコック遊びをしている様子を示した絵で14世紀のものである。この絵は大英博物館が所蔵しているもので,1801年にジョセフ・ストラッツが編集した本に収録されているものである。
 まさに持っているのは木ぎれで,遊んでいる人の服装が着物なら,日本の追い羽根突きそのものである。
 
 

 上の絵に似たものが時々日本のバドミントン関係のサイトでも紹介されている。それは下のものである。
 これは,バーナード・アダムスが1980年に編集した「The Badminton Story」という本の中で紹介したもので,上の原画を模写したものなのである。
 だから,若干雰囲気が違っている。
 でも,原画では左側の人は右利きなのに,模写の方では左利きになっている。どおでもいいことだけれどー,なんでだろー・・・・。



 ちなみにシャトルコック(Shuttlecock)という言葉であるが,古い呼び方ではShittlecockというものもある。
 下の絵をご覧頂きたい。1743年に描かれたプリントで,やはりロンドンの骨董屋で買ってきたものである。タイトルのところがぼやけて見にくく,申し訳ないが,確かに,Battledore and Shittlecock と標記されている。これは別にイラストレーターがスペルを間違ったわけではなく,昔はこの様なつづり方もあったのである。いまでも,わざとこの様に古いスペルを使う人もいるので,yahooの検索エンジンのイギリス版あたりで検索をかけるとヒットする。日本にもわざと昔の綴りや表現法を好む人がいるのと同じことである。

 

 ということで,久しぶりの更新はこの辺で終わりといたします。
 ちなみに,すでにお弁当は食べ終わっています。アー,肉じゃがが本当においしかった。

 それでは皆さん,さやうなら。(^-^)/~~~


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