バドミントンハウス

 以下の文は,蘭和真が東京法令出版発行,「話題源体育」p446,に執筆したものです。なお,バドミントン村は,現在,エイボン州ではなく,サウスグラスタシャー州に属しています。下の文を読んで,その後に下にリンクを張っているバドミントンハウスの位置,および,バドミントン村写真集にとぶと,わかりやすいと思います。

バドミントンハウスの位置
 (リンクの地図) 

   バドミントン村写真集


発祥地バドミントン村へ

 バドミントンという名称は,英国のバドミントン村にあるバドミントンハウスと呼ばれるボーフオート公爵家の邸宅にちなんで名づけられたものである。バドミントン村は今でもイングランド西部に存在する村である。昔はGloucestershire(グラスタシャー)という州に属していたが,現在では地方行政区分が変わったため,Aivon(エイボン)という州に属している。エイボン州にはBristol(ブリストル)という大きな都市や風呂の語源となったBath(バース)という市がある.
 このバドミントン村,ロンドン市内からだと車で2時間あまりで行くことができる距離にある。ロンドンから西にまっすぐのびた高速道路のM4を150kmほど走り,18番出口で下りる。そして,A46道路を5kmほど北上すると道路標識が見えてくる。ここを右折すると農道に入るのであるが,矢印の方向へ4kmあまり行くとバドミントン村である。ちなみに,バドミントン村の隣にはリトルバドミントンという村があり,地元ではバドミントン村のことをリトルバドミントン村に対してグレートバドミントン村と呼んでいる。読者の中には,このバドミントン村が名所としてにぎわっているのではないかと思っている人もいるかもしれないが,事実は違う。この村にはバドミントンハウスと民家のほかにはひなびた雑貨屋と,看板がなければ馬小屋と間違えそうな郵便局と乗馬クラブの建物(その一室が村役場になっているのであるが),それに教会があるだけである。バドミントンができそうな建物など全くない。みやげもの屋もあるはずがない,バスさえ走っていないのだから。ここは,広大な農園と牧場に囲まれた人口236人の静かな農村なのである。
 さて,集落の入り口にさしかかると「バドミントンハウス→」という看板が目に入る。矢印の方へ100mあまり進むと村の突き当たりに達する。ここがボーフオート家の正門である。門にはプライベートハウスにつき立入厳禁と書かれた看板がかけられている。それもそのはず,バドミントンハウスは博物館でも村のモニュメントでもなんでもなく,今でもボーフォート家の人とその使用人たちが住んでいる個人の家なのである。もっとも個人の家といっても前庭は18ホールのゴルフ場がすっぽり入るくらいの広さで一面に芝が張られ,建物もむしろ城といったほうがよいくらい,大きく荘厳なものである。正門を抜け,中庭を50mほど歩き,もう一つのゲートをくぐり,馬小屋の横を通り,しばらく歩くと程なくハウスの玄関に達する。ハウスの中には19世紀の中ごろ,バドミントンの誕生以前に羽板突き遊びが行われていたという部屋や当時のラケットやシャトルが昔のままの様子で残されている。一般公開されてはいないが,公爵夫人に事前に連絡をとり許可されると見せてもらうことができる。 現在この村でバドミントン競技が行われることはない。しかし,この地は昔から乗馬やハンティングやその他のスポーツが盛んな所として有名で,今でもその伝統が受け鍵がれている。ロンドン市内の本屋で,バドミントンの本はないかと尋ねると2軒に1軒は,乗馬かハンティングの本のことかという答えが返ってくるほどである。早朝には十数匹の猟犬を従え馬上豊かに狩猟場へ飛び出してゆく公爵家の人の姿を見ることができる。

早朝,グレイハウンドを従えてハンティングに出かける公爵家の人々
蘭和真撮影

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